Preferred Networks (PFN)は2024年、創業から10周年を迎えました。
PFNは、2014年の創業以来、「現実世界を計算可能にする」をミッションに掲げ、深層学習をはじめとする最先端の技術を、実際の社会に役立てるために研究開発を続けてまいりました。
創業から10年が経過し、この節目の年を迎えることができましたのも、ひとえに株主様、共同研究・共同事業を行うパートナー企業様、お客様のご支援、ご愛顧の賜物であり、また、それを支えてくれた社員、家族にも心から感謝申し上げます。私たちは、AI技術の発展が、人々の生活をより豊かに、より便利にする可能性を持っていると信じています。そして、その実現に向けて、常に最先端の技術を開発し、社会に貢献していきたいと考えています。
これからも、PFNの技術が、皆様のビジネスや研究に少しでも貢献できるよう、努力を続けてまいります。引き続きのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
PFN共同創業者
西川徹 岡野原大輔
PFN Connect 創業10周年記念イベント
2024年10月21日、都内でPFN創業10周年記念イベントを開催し、PFNのこれまでの10年とこの先の取り組みをご紹介しました。各プレゼンテーションを動画でご覧ください。(動画が別タブで再生されます)
第1部 “産業” を進化させる
1. 3D/4Dスキャン: 現実空間を”理解”するAI
プロダクト・サービス部門General Manager (GM) 松元叡一
現実空間の撮影画像をAIが自由視点の3Dデータとして再現する3Dスキャンと3Dデータの作成・編集を可能にする3D生成AIを動画で紹介し、カメラで機械的に撮影するだけの時代から、撮影した現実空間をAIが「理解」する時代に来ていることを説明。この技術により、開発コストが増加するコンテンツ産業に加え、デジタルツインが活用可能なロボット産業や小売業などが今後どう進化するか、事例やデモを交えて解説しました。 [8分]
2. 産業の課題を解決するAIソリューション
Solutions部門GM 佐藤元紀
PFNのAI技術を実用化した企業向けソリューションの事例としてENEOS様(エネルギー産業)の石油化学プラントシステムの自動運転とFANUC様(製造業)の異常検知アプリケーションを紹介。AI技術そのものだけでなく、実用化の対象となる業界知識の深い理解を取得する必要性など、開発者としての実際の経験を踏まえて解説。さらに、生成AIを活用した特定業界に限らないプロダクト・サービス群「Preferred AI」の特長も紹介。 [7分]
3. 現実世界を原子から再現するMatlantis™シミュレーター
Materials部門リサーチャー 高本聡
文明発展の原動力となってきた新素材の探索をAIで加速する試みを材料開発用ソフトウェアMatlantisを例に紹介。原子の世界は原理的にコンピュータ上で計算・再現可能な一方、莫大な計算コストや処理時間が障壁となっていたが、機械学習を活用することで従来の数万倍から数千万倍に高速化することが可能になった背景を解説。「原子のふるまい」のような人間の直感が及ばない複雑な世界もAIが理解し再現することが可能だという観点も交えて説明しました。 [6分]
第2部 “計算機” を進化させる
4. AIと計算基盤の進化
基盤技術グループGM 照屋大地
PFNでの研究やAIソリューションの開発に欠かせない計算資源を社内の機材やシステムでどう賄っているかを解説。既に紹介された多様な用途に対応し、かつ効率的でフェアな利用環境を確保するためにしている工夫やツールを紹介し、高性能・低消費電力の自社開発AIチップMN-Coreシリーズの導入についても説明しました。 [5分]
5: AI半導体MN-Core™シリーズとそのソフトウェア、クラウドサービス
MN-Core部門GM 樋口兼一・基盤技術グループGM 照屋大地
MN-Coreシリーズの現物や拡大写真を見せながら、その設計思想をどのようにチップに実装しているか、高性能・高効率を実現しながらどのようなソフトウェアスタックで利便性とのバランスをとっているかを説明。MN-Coreシリーズの実用化の現状に続き、推論処理に特化したMN-Core L1000などのロードマップとその技術を紹介。続いて、MN-Coreシリーズを計算資源とする新しいクラウドサービスPreferred Computing Platform™ (PFCP)を紹介。 [12分]
第3部 “物理世界” を進化させる
6: AI技術を物理世界に広げるKachaka Platform
Preferred Robotics エンジニア 村瀬和都
「すべての人にロボットを」のミッションを掲げるPFN子会社のPreferred Roboticsが開発する自動搬送ロボット「カチャカ」の技術や最新の活用事例を紹介。業務に応じた専用シェルフとドッキングした数台のカチャカがステージ上でぶつかることなくスムーズに移動するデモや、クラウドを介さずLLMでプレゼンターの自然な発話を認識して動作するデモを通し、カチャカが様々な産業のプラットフォームとして進化して行く方向を示しました。 [9分]
7: 人とロボットが共に働くリテール業界の未来
Retail部門プロダクト開発エンジニア 山川要一
多くの業務を勘と経験と人力で回しているチェーンストア業界の現状について問題提起。店頭を模したステージ上のセットで「MiseMiseロボット」が商品棚を自動スキャンして分析する様子や、その分析結果を見ながら「MiseMise品出し」で素早く欠品補充をする従業員を実演。PFNのリテールソリューションによって、人とロボットが共に働く店舗運営の近未来をお見せしました。 [8分]
第4部 “人工知能” を進化させる
8: 大規模言語モデルと人工知能の進化
LLM・金融クラスタ部門エンジニア 今城健太郎 (imos)
大規模言語モデル(LLM)が技術的ブレイクスルーとしてどのように人間とコンピュータの関係を変え、人類の生産性を高めることが期待されるか、PFNの大規模言語モデルPLaMoを例に説明。LLMが生まれた背景と、その現状、将来性について語った後、日本の産業や人々の暮らしにとって国産のLLMがなぜ必要か、ChatGPTとPLaMoの比較などを見せながら解説しました。 [8分]
クロージング
未来の話
最高経営責任者 西川徹・最高研究責任者 岡野原大輔
PFN共同創業者の西川と岡野原が、PFNのこれまでの10年を振り返り、今後の展望を共有する対談セッション。これまでの様々な技術の進化に加え、今後10年に向けてはさらなる技術の変遷が予想されています。常識が変わり、暮らしや産業も劇的に変わっていくであろう中、PFNが取り組むべき技術開発や事業展開、課題先進国である日本が強みを発揮するための必須条件について語りました。 [12分]