まず、最初にお伝えしたいことは、PFNはAI専業の会社ではない、ということです。AIの会社として取り上げていただくことは多いのですが、私たちにとって”AI”、”機械学習”は手段の一つです。もちろん、機械学習はとても強力なツールであることは間違いありません。機械学習や深層学習の研究開発には力を入れています。しかし、機械学習に強みをもつだけでなく、実世界への応用に向けて、様々な技術を融合させることのできるチームとメンバーこそが、PFNの強みであると考えています。
中でも私たちの強みは、「ハードウェアとソフトウェア、そしてコンピュータネットワークの融合」です。コンピュータアーキテクチャの発展、ハイパフォーマンスコンピューテングの発展と機械学習の発展、この3つを同時に考えることによって、これまでにない規模でのデータ処理が可能になり、新しいアプリケーションが生まれます。それだけでなく、機械学習に適したアーキテクチャはどういうものなのか、ということに対しても深い知見を得ることができます。これは新しいコンピュータアーキテクチャの創出につながります。また、ロボティクスや自動車といったハードウェアとソフトウェアが連携することは、ハードウェア自体の活用分野の拡大につながります。さらに様々な環境下でのロバストな制御の実現は、ハードウェアが活躍できる場所を大幅に広げます。そのような分野での機械学習の活用は興味深い応用分野の一つです。
私たちはソフトウェアの発展によって、ハードウェアの創り方・設計そのものも進化させていきたいと考えています。既存のハードウェアの上でソフトウェアを適用するだけでなく、ハードウェアを深く理解し、ハードウェアを設計できるケイパビリティをもつことによって、ハードウェアの進化そのものを引き起こそうと思うのです。ハードウェアとソフトウェア、これまで相互に密接に関わることの少なかった2つの分野を強力に融合することによって、新しい技術の創出を目指すべきだと考えています。(もちろんソフトウェアはハードウェアの上で動くという点では関わってはいるわけですが、ハードウェアの技術者とソフトウェアの技術者が密接に、同じチームで働くということはこれまであまり起ってこなかった流れだと思います。)PFNではこれ以外にもいろいろな分野の人が協力して新しい技術を生みだそうとしています。ライフサイエンスと機械学習、アニメーションと機械学習などもその一つです。複数の専門分野を融合し、一つのチームとして取り組むことによって、お互いの分野への深い理解を得て、単独で取り組んでいたのでは決して生み出せない新しい技術を創り出そうとしています。